金田正一の凄さがわかる名言・語録集!天才投手の努力論や人生哲学まで迫ってみた!
日本プロ野球にはいつくか不滅といえる記録が残されています。
その中でも絶対に破ることは不可能だと断言できる記録のひとつが、金田正一の通算400勝でしょう。
シーズン20勝の投手でさえ、まれな昨今、20勝を20年続けなければ到達しないこの大記録を上回ることは到底不可能といえます。
現役時代は金田天皇と呼ばれ、ミスタープロ野球こと長嶋茂雄との初対戦では、4打席連続三振に抑え、「あの小僧、ものになるかもしれない」とうそぶいてみせ、監督時代には数々の暴言を吐いて遺恨試合を生んでは、退場となり、良きにつけ悪しきにつけ何かと話題の多い野球人生を送りました。
昭和名球会を作り、入会基準となる投手として200勝、打者として2000本安打が、超一流プレーヤーの証とされる礎を築いた金田正一の、凄さがわかる名言や語録から、天才投手の努力論や人生哲学に迫ってみましょう。
金田正一について
まずは金田正一の経歴を追ってみます。
1933年8月1日生まれ、愛知県中島郡(現稲沢市)出身。享栄商業高校の3年に国鉄スワローズ(現ヤクルトスワローズ)にスカウトされて高校を中退。スワローズに入団。
1950年8月のデビューにも関わらず、その年に8勝をあげ、翌年には史上最年少の18歳35日でノーヒットノーランを達成。弱小球団だったスワローズの大エースとして活躍。
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14年連続で20勝以上をあげ、1958年には64.1イニング連続無失点の日本記録を作り、数々の記録をうちたてますが、チームは弱く、優勝には無縁。金田が投げなければ勝てないといわれたスワローズで先発からリリーフまでこなし、在籍15年で353勝をあげる。
1964年オフに、当時あった10年選手制度で、読売ジャイアンツに移籍。ようやく日本一を経験し、1969年に400勝をあげたのを花道に現役引退。
最多勝3回、最優秀防御率3回、沢村賞3回。日本歴代1位の400勝、365完投、投球回数5526.2回、4490奪三振といった大記録を残しています。
引退後は、ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)の監督を通算8年間務め、当時は人気のなかったパシフィックリーグに客を集めようと、さまざまなパフォーマンスを見せるなどしながら、1974年には日本一へと導きます。
その後は球界のご意見番として、メディアなどで活躍されています。
私が選ぶ、金田正一の凄さがわかる名言・語録集
【名言語録集その1】
「俺は400勝しているが、300敗してるんだぞ」
2001年に4勝で終わった桑田真澄が、そう金田に言われて奮起した言葉です。
金田は日本一の400勝をあげていますが、日本一の298敗もしています。弱小球団の国鉄スワローズに在籍していたこともありますが、それだけに頼られることが多く、14年連続で300イニング投げています。200イニングでも珍しい昨今では考えられないほどの回数です。
江本孟紀との対談で、金田は「ワシの400勝は、人の勝ち星を盗んだからだという、そういうバカな芸能人がいる」と嘆き、「どれくらい勝つことが大変で、どれくらい維持することが大変か」と言っています。
太平洋戦争終結からわずか5年後にプロ入りしている金田は、あらゆるものが不足していた時代にコンディションを維持し続ける難しさを知っているし、とにかく弱かったスワローズを背負って投げ続けていたからこそ、負けも投球回数も多かった。
金田が勝ちを盗んだというなら、同時にたくさんの負けを背負った投手ともいえます。だからこそ言える、重みのある言葉です。
【名言語録集その2】
「スランプと言っていいのは、王、長嶋、金田まで」
近年はわずか1年や2年活躍しただけの選手が成績を出なくなっても、簡単にスランプといってしまいます。それは対戦相手に攻め方を覚えられてしまったのに、対抗策が見つけられなかったとか、体力的に生涯成績のピークだったのかもしれません。スランプではなく、技術ないし体力が伴っていないというのが正解だったりします。
「最近の若い選手はすぐ高級車に乗りたがるが、そんなカネがあるなら、もっと自分の体を磨くことに使えといいたい」
そう金田は言ってますが、身の丈以上のものを買って、次のモチベーションにするという考えもあるでしょうが、一流のアスリートは自分のコンディションを向上させるために投資します。
平成の怪物、松坂大輔の復活も、コンディション向上のために、あらゆる方法や人材を求めて、全国を回った結果だそうです。
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また桑田真澄との対談で、ツーシームの話になり、「なんだそりゃ」とつぶやいて、ツーシームを知らないのかと、一部野球ファンの間で話題になりましたが、ツーシームよりも「最後まで縫い目に指先が引っかかるように投げないと」という説明や、「カーブこそが溜めを教えてくれる」といった技術論に、桑田も同意しています。
2017年オフに菅野智之との対談で、右バッターへのシンカーの使い方を悩んでいた菅野に、金田は「スライダーをインコースに投げてやればいいんだ」とアドバイスしていますが、2018年の菅野は実際にいわゆるインスラを要所で使っています。
一流のプロの技術は、時代が違っていても通用します。
しっかりと体を整え、更に技術を磨く。
それをせずに一流であり続けることはできないわけで、軽々しくスランプなどと口にするなということなのでしょう。
【名言語録集その3】
「ワシの記録を抜いてから、好きなこと言え。自分だけの尺度で言うのなら、人前で大きな声でやらずに、内緒でやれ」
400勝投手の記録を抜くのは無理でしょうが、「自分の尺度で言うのなら、人前で大きな声でやらずに、内緒でやれ」というのは、今のSNS全盛時代にも通じる言葉だと思います。
金田がロッテの監督をしていた当時のパリーグは、外野の芝生席で野球ができるほど観客がおらず、人気がありませんでした。
金田はなんとか客を呼ぼうと、他チームの文句を言っては遺恨試合を作り上げて盛り上げたり、自ら3塁ベースコーチに入って「カネやんダンス」といわれた動きで客を楽しませたりもしていました。
それで中傷を受けることも度々でしたが、「プロでマナーが悪いもクソもあるかいってね。勝って喜び、負けてくやしがり、それを見てお客さんが喜ぶんじゃ」と言って、常にお客目線を忘れませんでした。
強烈な自己アピールをしながらも、ちゃんと落としどころを考えたウィットのある言葉を返す金田は、サービス精神も兼ね備えた野球人だといえます。
名言からの学び
・多くの勝ち星の陰には、多くの負けがある。
・一流でないものに、スランプはない。単に準備不足か、技術が未熟なだけである。
・個性が人を惹きつけ、引き寄せる。
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